外資の話の続きです。
「外資に転職すれば収入アップするかもしれないっていうのは分かった。
だけど英語が出来ないと外資に行かれないでしょ?」
そう思われた方がいらっしゃるかも?と思ったので、今回は外資系社員の英語力について、書いてみます。
20年以上外資系企業で働いている私の結論は・・
大切なのは本業のスキル、
それがしっかりしていれば英語はペラペラじゃなくても大丈夫
です。
なぜなら仕事は試験じゃないから。文法や発音で100点取らなくてもいいから!
キレイな英語にこだわらず伝えること、本業で成果を出すこと、これが大事だと思うのです。
● 外資系社員の学歴についてはこちら ●
- 初めて外資へ転職した時の英語力は「受験英語+α」
- ネイティブ並みに英語ペラペラの人は1〜2割?
- 大切なのは「発音や文法を気にしない度胸」
- 英語より大切なのは本業のスキル
- 役職が上がれば求められる英語力も上がるので注意
- お給料をもらいながら国内留学できてラッキー?
初めて外資へ転職した時の英語力は「受験英語+α」
私が20代で初めて外資に転職した時点では「大学受験英語+街の英会話スクール」程度の英語力でした。
父は駐在員だったけど、私自身には海外経験がありません。
発音はばっちり「ジャパニーズイングリッシュ」!
そう、私は英語ができたから外資に行ったのではないんです、
外資へ行ったから英語を話せるようになった、という順序です。
それでも「資料作成や事務処理がテキパキできます!」と面接でアピールしたら採用してもらえました。
なぜなら「資料作成・営業事務」というメインのスキルが評価され、英語はあくまでサブだったから。
この話は今でも有効。
メインのスキルが重視されれば、英語はそこそこでも十分採用される可能性があります。
ネイティブ並みに英語ペラペラの人は1〜2割?
「あなたはラッキーだっただけで、他の人はみんな英語がペラペラなんじゃ?」と思われたもですが、実はそうでもありません。
あくまで私が知る範囲のお話ですが、帰国子女などでほんとに英語ペラペラの人は、日本人社員の1、2割な気がする。
今の会社は外人比率が高いけど、それでもペラペラ日本人スタッフは5割くらいかな。
残りの半分は私と同じ「ゆる英語」です。
仲間が半分もいれば、発音が発音が悪くたって気にならなーい。
しかし、英語と無縁の人から見れば、その「非・ペラペラの8〜9割」もペラペラに見えるかもしれません。
だけどよくよく非・ペラペラの英語を聞いてみたら・・・
日本人訛り、言い淀む、文法間違いまくり、同じ表現ばかり使う、とツッコミどころ満載(私はYou knowばかり言ってる)。
ただ、私たち非・ペラペラもしっかりコミュニケーションはしてます。
そう、大切なのはコミュニケーションであって、英語がきれいなことではないんです。
大切なのは「発音や文法を気にしない度胸」
「英語のキレイさを気にしない度胸」、これがほんとに大切。
英語のテストじゃないから100点じゃなくていい。
時制を間違えようが、三単現のSが抜けようが、んなことは気にしない。
available(通用する), communicative(何を言ってるか分かる)であればOKです。
発音だっておんなじです。
入社してみたら分かりますが、アメリカ本社側もネイティブじゃない人だらけ。
ITなのでインド系が多いし、中華系の人も多いし、みんなそれぞれ訛りが強いですよ。
それにある程度の規模の会社なら、本社直轄でなく「Asia Pacific 」などのregion officeがあって、そことの仕事が多いです。
そうなるとアジア人どうしで話すことになりますから、発音なんてすぐにどうでもよくなる。
英語より大切なのは本業のスキル
私はIT業界ですが、友人によると、ラグジュアリーブランド系や医療系の外資でも、状況はさほど変わらないようです。
(あ、もちろんマッキンゼーみたいな超超一流企業は別ですよ。
普通の人を募集してる企業のお話ね。)
業種は違えど、外資に共通しているのは、「日本の拠点は販売がメイン」ということ。
その会社のプロダクトやサービスを日本で売っていくことが日本子会社の目的です。
ですから、求められる人材はそのセールスにちゃんと貢献できる人。
営業は言わずもがな、マーケティングなどのミドル部門や総務人事などバックオフィスも、セールスを支えるために、本業のスキルが高い人材が欲しいのです。
なので「英語はペラペラだけどそれ以外何もできないよね?」という人の方がむしろ残念の烙印を押されます。
・・・とはいえ、仕事は残念でも本社にアピールするのだけは上手くて、英語だけで生き延びてる人もいますけどね(こっそり)。
そいういう方は英語力の他に「渡世術」というすばらしいスキルがあるということで。
役職が上がれば求められる英語力も上がるので注意
日本でビジネスしてるから、カスタマーはほとんど日本人、商談は当然、ほぼ日本語です。
そこでしっかり売上を立てられる、日本でのビジネスに有益なことができる、
そういう人なら、英語がイマイチだって問題ありません。
それでも気をつけていただきたいことが2点あります。
一つめは「書類とメールはかなり英語。読み書きはできた方がいい」ということ
商談は日本語でも、本社からの指示は英語です。
会社のポリシーやガイドラインはたいてい英語のまま。
一言一句、辞書検索しないと理解できない、となると時間がかかってしまいます。
本人のフラストレーションも溜まるし、仕事が遅いという評価に繋がりかねない。
なのでここは気をつけた方がいいかな、と思います。
とはいえ、私も含め日本人は「読み書きはできるけど会話に自信がない」っていう人が多いですよね。
そういう方でしたら外資でやっていける可能性は多いにあると思います。
二つ目に留意いただきたいのは、役職が上がるほど求められる英語力も上がる、という点。
いち営業マンだった時には英語が不要でも、営業部長になったらそうもいかなくなるかも。
- 本社の意向を理解し日本で展開する
- 外人社長や関連部門と交渉して予算や人員をぶん取ってくる、
そのようなマネジメントの役割には相応の会話力が求められます。
それでもやっぱり、
文法や発音のキレイさにはこだわらず、必要なことを正しく伝えたい!
そんな熱意があればきっと乗り切れます。
お給料をもらいながら国内留学できてラッキー?
度胸頼みの外資生活も、はや20余年・・・。
その間ずっと、英語に対して前向きだったかというと、やっぱりそんなことはありません。
もう無理!と思ったことも何度もありました。
私の英語が通じず、相手にイライラされたこと
外国人の同僚に何を言われてるのかわからず泣きそうになったこと
そんなことはもう日常茶飯事で、今でもしょっちゅうあります。
そんな時は「お給料をもらいながら国内留学できてラッキー」と自分に言い聞かせて頑張った。
そして今では、外国人たちとウクライナ問題を語り合えるくらいになりました。
この話が「外資系社員の英語力ってどれくらい?」と気になっていた方に、少しでもお役に立てていればうれしいです。
今の会社を辞めたら、すぐに英語を忘れちゃうだろうな。
セミリタイアになっても、何かで英語に携わっていたいな。
●過去記事●
会社を辞めても「英語という無形資産」は手放さなくていい、そう気づかせてくれた本