管理職を辞めたいと言いながら、なかなか上司に退職を言い出せない・・
迷いを払拭したくて、この本を読みました。
キャリアを手放す勇気 東大卒・マッキンゼー経由・お笑い芸人 (日経ビジネス人文庫)
サブタイトルの通り、東大院卒、マッキンゼーという眩しいほどのキャリアを持ちながら、お笑い芸人に転身された石井てる美さんの本です。
こんな華々しい経歴の方に「共感する」というのは厚かましいのですが、
周辺の業界で働く者として、そうだよね〜分かる〜、と一気に読みました。
コンサル業もお笑いもこなす器用な方で、世間体なんてものには拘らないんだろう・・
そういう雲の上のメンタリティの持ち主だと思っていましたが、この本でイメージが覆されました。
普通の人と同じように、頑張りすぎて追い詰められたり、エリートコースから脱落できない、と悩まれていたんですね。
素晴らしいキャリアを手放された勇気に感動・・・!
さらにこの本には、勇気以外にもう一つ大切なことを教えてくれたんです。
著者は芸人に転身されてからも、コンサルの得意技である問題解決能力や英語を活かして活躍されている。
ということは、キャリアはしっかり石井さんの中に生きているのでは。
ひょっとしてキャリアって、捨てようと思っても捨てられないのかも・・?
これまでの価値観は捨てるけど、過去の努力は否定しないでいいのでは?
この本を読んでそんなふうに思えたんです。
自分を縛る「サンクコスト」と「まだ稼いでないお金」
これまで頑張ってきた仕事を辞めるって、本当に難しい・・。
キャリアに潜むsunk costが惜しくてたまらんのです。
エリートでもないのにね。
睡眠時間1時間で頑張って取ったあの資格はどうなる?
苦労して昇った役職の階段はどうなる?
そう思っちゃうんですよ。
たとえファイナンシャルプランナーに背中を押してもらっても、まだぐずぐずしてる。
キャリアチェンジの決断は貯金の額だけではできないんですね。
そうだ、お金と言えば、
「このままこの仕事を続ければ、55歳には○○万円貯まる」って思っちゃうの。
まだ稼いでないお金に縛られるなんてね。
お給料って中毒性があるんだなぁ。
しかしこのお給料は強いプレッシャーの上に成り立ってるもの。
お金よりも健康と心の平穏を求めるようになりました。
肩書きは独身の言い訳として便利だったけど、50代ともなればもう気にしません。
年収と肩書きへの執着はほぼ消えつつあります。
キャリアって無形資産だから手放さなくていいのかも?
厄介なのはサンクコスト、つまり過去の苦労に対する妙な愛着かもしれません。
ここで管理職を辞めてしまったら、あの努力を否定することになる気がしちゃう。
それでこの本を手に取ったのですが、読んでいて思ったわけです。
厳密には、著者はキャリアを手放してはないのでは?って。
そもそもキャリアって何だっけ?
厚生労働省のホームページではこう定義されていました。
「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。
そうか。
経験や能力は、文字通り自分の「身についた」もの。
管理職を辞めたとしても知識や経験は無くならない。つまりキャリアは捨ててない。
過去の自分を否定してることにはならないんだな・・!
もちろん著者もそれは承知されていて、キャリアは「過去の自分」という象徴的な意味で使われてるんだと思います。
「決断するとは『捨てる』こと」という章が、とても心に響ました。
自分を捨てるとは、自分を縛っていた過去の価値観を捨てる、という意味なんだなぁ。
そして捨てると言っても失うばかりじゃない。
違う道に進んだら、そこには新しい出会いや経験が待っているんだ。
今にしがみつくことで、逆に機会損失を起こしてるのかもしれない・・!
残る問題は「管理職を辞めた後、何がしたいのかが分からない」こと
というわけで。
管理職を辞めてもキャリア(身についた知識と経験)は捨てない、
年収と肩書きにだけさよならする
ことにしました。
よーし!じゃあいよいよ退職を上司に告げるぞー!
・・・とならないのが私のダメなところ。
問題は「本当にやりたいこと」がまだ見つかってないことです。
いましたいことはのんびりすることだけど、ただ疲れてるだけなのか区別がつかない。
著者がお笑い芸人を目指したような、情熱が湧いてこない。
管理職辞めて少しゆっくりしたら、自然と見つかるだろうか・・。
こればかりは本の中には答えがないから、自らに問い続けるしかないですね。
「何か情熱を持てること見つけなきゃ」と苦しむのも、他人の価値観に縛られてるからなのかな・・?
この記事は「#フリーにはたらく」というお題に寄せたもの。
働き方だけでなく、考え方もフリーになりたいものです。
50過ぎの自分探しは続きます。
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