横浜市にある「金沢文庫」、その地名の由来を、ご存知ですか?
私は知らなかったんだけど、金沢文庫には、本当に「文庫」、つまり文書の倉があったんですって。
しかも創設したのは、大河ドラマで話題の北条氏。
現在は、神奈川県立の歴史博物館になっていて、お隣には、金沢北条氏ゆかりのお寺があるらしい。
それを聞いたら、がぜん興味がわいて、涼しめの日に行ってきました。
お寺は、住宅地にぽっかり空いた、時空のエアポケットのようでした。
そこだけが静かで、風が冷たくて、一瞬、中世にタイムスリップしたような気がした。
良いお出かけだったなー、と満足して帰る道すがら、思ったのですよ。
「こういう静かな時間を、会社員時代にもっと持てばよかった」って。
もっと有給を取って、会社の携帯をオフにして、お出かけすればよかった。
退職前は、「仕事が溜まるのが嫌」とか、「どうせメールを見なきゃいけないし」と思って、あまり休暇を取らなかった。
セミリタイアした今、「会社員時代、こまめに脳のエアポケットを作ればよかった」と、ちょっぴり後悔しています。
称名寺と金沢文庫で、中世にタイムスリップ
海に近い素敵な住宅地、というイメージの金沢文庫。
「あそこには、本当に『文庫』があったのよ」と教えてくれた人があり、さっそく行ってきました。
金沢文庫は、武士が作った、鎌倉時代の図書館
武力でのし上がった東国武士も、時代が落ち着いてくると、教養の重要性に目覚めたそう。
教養は、統治や行政のためや、公家との付き合いに必要だったらしいです。
そこで、鎌倉中期に北条実時が文庫を設立し、それが「金沢文庫」という地名の由来になったんですね。
そういえば、「鎌倉殿の13人」の小栗旬くん(北条義時)も、最初は文系っぽいキャラだったわ。
文庫を設立した実時は、義時の孫にあたるみたいです。
現在は、神奈川県立の歴史博物館兼、図書館になっています。
私が行った時は鉄道資料のコレクションを展示していました。
この記事では省きますけど、この企画展も素敵で、鉄道ファンならずとも楽しめました。
中世のトンネルを抜けると、そこは図書館だった
鎌倉時代の文庫は、鎌倉幕府の滅亡と共に消滅、蔵書はお隣の称名寺に引き継がれました(その後、多くが散逸)。
鎌倉文庫と称名寺は、トンネルで繋がってます。
金沢文庫に行くには、いったん称名寺に入ってから・・・
トンネルの向こうに、鎌倉文庫が。
鎌倉時代のトンネルも残っています。
北条のお侍さんがここを通ったんだなぁ、と想像しながら、あちら側を覗く。
穴場の称名寺にて、脳の芯を冷やす
鎌倉文庫の後は、お隣の称名寺を散策しました。
北条実時が開いたお寺で、元の文庫は、このお寺の庭にあったらしいです。
大河ドラマは人気だし、この日は珍しく涼しいし、平日でも混んでるかも・・・
と覚悟して出かけたのですが、人はまばらにしかおらず、とても静かでした。
ここは穴場かも!
穴場というくらいで、ここは文字通り、エアポケットのような場所でした。
住宅街から続く道、門を抜けたら、いきなり広い庭園が現れた。
蝉時雨と鳥の鳴き声以外は、何も聞こえず、ここだけ冷たい風が吹いている。
「ここは、鎌倉時代からずっと変わってないんじゃないか?」と錯覚しました。
もちろん、今あるお庭や、お堂、池なんかは、鎌倉より後の時代に造られたものですけどね。
この釈迦堂なんて、藁葺き屋根で古そうだけど、それでも江戸期1862年の建立だって。
静かな場所で過ごすと、脳の芯が冷える気がします。
あまり性能が良くないからこそ、私の脳は、いつでも雑事でフル回転。
すぐにオーバーヒートしちゃうから、こうして冷やしてあげるといいんですね。
これ、セミリタイアしなくてもできることだよね?
金沢文庫にも称名寺にも、すっかり満足して、京急の駅に向かいました。
こうして自由にお出かけできるんだから、やっぱりセミリタイアしてよかったわー、
・・・って思ったんだけど、
これってセミリタイアしなくてもできることだよね!?
金沢文庫は、東京から一時間ちょっとの距離、バリバリ通勤圏です。
別に退職してなくても、半日有給を取るなり、週末にちょっと足を伸ばせば来られる場所。
どうして、こういう静かな時間を、会社員時代にもっと作らなかったんだろう?
あのころ休むのが怖かった。だけど休めばよかった。
そりゃ、同じお出かけでも、退職前と後では、リラックスの度合いは違います。
会社員の時は、有給を取ってても、土日でも、会社のメールに追われてたからね。
▷ 土曜の早朝に担当外の仕事【もうすぐ辞めるのに】ー被害者意識は体に悪かった
あの頃は、休むのが怖かった。
休んだらその分仕事が溜まる。
ただでさえ忙しいのに、仕事を溜めたら、回らなくなるのでは?
休みの日に緊急対応や、炎上が起きたら、対応できないのでは?
そう思うと、怖くて休めなかった。
会社員時代は、いつも何かにビクビクしてたなぁ。
退職を申し出た後も「辞めさせてもらえないかも」って怯えてたし。
▷ 自分は「社畜」だったかも?ーでも「逆にすごい」と思ってみる
あの頃は、脳がオーバーヒートしてたんだろうな。
勇気を出して、もっとこまめに有給を取って、脳を冷やしてればよかった。
そりゃあ、休み中も、仕事メールにときどき、平穏を破られたと思う。
それでも、脳の温度=ストレスレベルを下げることは、できたはず。
そうすれば、「休めない」「辞められない」って、常に怯えなくて済んだのかもしれないね・・・。
頭のエアポケットに、気付きやアイディアが生まれる
称名寺という、癒しの空間のように、心と頭にも、静かなエアポケットが必要、
そう気づいたお出かけでした。
そういえば、つつじ苑では、自分で自分を追い詰めてたことに気づき・・
雨の旅行では、セミリタイアに最適なタイミングを発見。
仕事を離れて、頭にエアポケットを作ると、そこに気付きやアイディアが浮かぶのかしらね。
やっぱり、会社員時代に、もっと休んでおけばよかったね。