日比谷ミッドタウンの辺りを歩いていた時のこと。
「昔ここに"Radio city"っていうディスコがあったよね?」と、なぜかバブル時代の思い出がよみがえりました。
部署の人たちと、そのディスコに来たことがあったなぁ。
(クラブじゃなくてディスコなの)
私が新入社員だった頃、世はバブルまっ盛りでした。
私のような容姿でも、ただ若い女性というだけで恩恵を受けることがあった。
たとえばそういう部署の集まりで、「終電なので帰ります」などと言えば、
男性の先輩が「遅いからタクシーで帰りなよ」と1万円札を渡してくれる。
相手だってまだ27、8歳なのに。
その後デートのお誘いを受けたこともないので、恋心ではない気がする。
純粋に「男性は女性にタクシー代を渡すもの」と思っていたのでしょう。
常識が現在とはぜんぜん違う。
早く結婚した先輩たちは、「住宅ローン金利はどんどん上がるから、早く家を買わなきゃ」と話し合ってた。
5%の固定金利でローンを組んだ人が「良い金利でよかったな」と言われたりしてた。
またまた、今の常識とかけ離れてます。
あれは狂った時代だった、と言うことは簡単です。
だけど、バブルが崩壊するなんて、30年後住宅ローンの金利が0.5%を切るなんて、あのころ誰も予想してなかったもの。
あの時はあの時なりに、みんな懸命に情報収集して、最善の道を選んでいたんだよね。
時代を評価できるのは、後の時代に生きる人だけ。
渦中にいる間は、その時代を必死で生きるしかないのです。
常識は10年やそこらで簡単に変わり、過去の常識のことをいつのまにか忘れてしまう。
もうすぐセミリタイアしようとしている私。
ファイナンシャルプランナーに相談して、慎重な計画を立てたつもりです。
だけどきっと「こんなはずじゃなかったぁぁぁ」ということが起きるんだろうな。
だって常識はすぐに変わるもの。
50余年の人生で学んだことはそれです。
予想外の事態が起きたらしばらく泣いて、またその時にできることをやっていこうと思ってます。
そういえば、あのタクシー代どうしたんだっけ?
丁重にお断りしたことも、ありがたくタクシーに乗ったこともあったような。
ほどなくしてその会社を辞めてしまったので、みなさんの消息を知りません。
タクシー代をくれた人も、5%の住宅ローンを組んだ人も、そろそろ還暦だね。
みんな元気かな?
住宅ローンは、どこかで借り換えたかな?
あの時に家を買わず貯金した人、
男気なんて気にせず、女子にタクシー代を渡す代わりに貯金した人。
そういう人は今ごろFIREしてるかも。
流行や時代の常識と無縁な人が、あんがい勝ち組になるのかもしれませんね。
すっかり再開発された日比谷を歩きながら、そんなことを思ったのでした。